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大阪地方裁判所 平成10年(ワ)10738号 判決

原告

八城重雄こと姜昌龍

八城昌博こと姜在虎

八城将三こと姜賢秀

角井茂

原告ら訴訟代理人弁護士

満村和宏

片岡剛

被告

同和観光株式会社

右代表者代表取締役

八城炳三こと姜炳浚

右訴訟代理人弁護士

曽我乙彦

中澤洋央兒

荒川雄次

主文

一  原告八城重雄こと姜昌龍、同八城昌博こと姜在虎、同八城将三こと姜賢秀及び同角井茂が、被告に対し、雇用契約上の権利を有することを確認する。

二  被告は、原告八城重雄こと姜昌龍に対して金二七五万円、原告八城昌博こと姜在虎に対して金二六五万円、原告八城将三こと姜賢秀に対して金二五〇万円、原告角井茂に対して金二六〇万円を各支払え。

三  被告は、

1  原告八城重雄こと姜昌龍に対し、平成一〇年一二月から本判決確定の日まで毎月一日限り、月額金五五万円の割合による金員を

2  原告八城昌博こと姜在虎に対し、平成一〇年一二月から本判決確定の日まで毎月一日限り、月額金五三万円の割合による金員を

3  原告八城将三こと姜賢秀に対し、平成一〇年一二月から本判決確定の日まで毎月一日限り、月額金五〇万円の割合による金員を

4  原告角井茂に対し、平成一〇年一二月から本判決確定の日まで毎月一日限り、月額金五二万円の割合による金員を

それぞれ支払え。

四  原告らのその余の請求をいずれも却下する。

五  訴訟費用は被告の負担とする。

六  この判決は第二項及び第三項に限り仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  主文第一、二項と同旨

二  被告は、原告八城重雄こと姜昌龍に対し、平成一〇年一二月から毎月一日限り、月額金五五万円の、原告八城昌博こと姜在虎に対し、同月から毎月一日限り、月額金五三万円の、原告八城将三こと姜賢秀に対し、同月から毎月一日限り、月額金五〇万円の、原告角井茂に対し、同月から毎月一日限り月額金五二万円の各金員を支払え。

(なお、原告らの右金員請求は、平成一〇年七月一日支払分からの賃金支払を求めるものである。)

第二事案の概要

本件は、被告従業員である原告らが、被告から解雇の通知を受けたことから、解雇の効力を争って、従業員たる権利を有することの確認と賃金の支払いを求めた事案である。

一  争いのない事実等

1  被告は、被告代表者が全額を出資して昭和三五年に設立した会社であり、現在、系列の同和企業株式会社(これも被告代表者の全額出資会社)と併せて三〇〇名の従業員を擁し、飲食店、ゲーム場、ボーリング場、パチンコ店、ゴルフ場等を経営している。

原告八城重雄こと姜昌龍(以下「原告重雄」という)、同八城昌博こと姜在虎(以下「原告昌博」という)、同八城将三こと姜賢秀(以下「原告将三」という。)は、平成七年九月三〇日に死亡した被告代表者の長男で被告の専務取締役を務めていた八城重太郎こと姜大律(以下「重太郎」という。)とその妻八城勝子こと卞勝子(以下「勝子」という。)の子供である。

2  原告らは、いずれも被告の従業員として勤務してきたが、それぞれの入社時期、後記解雇時の勤務場所、役職は次のとおりであった。

(一) 原告重雄

平成七年一一月入社 東宝塚ゴルフ倶楽部勤務 役職部長

(二) 原告昌博

平成五年九月入社 本社勤務 役職課長

(三) 原告将三

平成七年一一月入社 新三国アルゴ(ボーリング場)勤務 役職総支配人

(四) 原告角井茂

昭和五九年六月二〇日入社 堂山町カラオケ店勤務 役職支配人兼アルゴ営業本部長

3  被告代表者は、昭和五〇年ころから、被告会社や系列会社の経営実務のほとんどを重太郎に任せ、自らは右各社の経営方針を指示し、重要事項について決裁するだけにしており、右各社の収支管理は重太郎及び勝子が行って、その結果を被告代表者に報告するという状態が続いていた。

重太郎死亡後も勝子は被告取締役として勤務していた(ただし、その後の平成一〇年九月一四日付で取締役を解任された旨の登記がなされている。

〈証拠略〉)。

4  被告は、原告らに対し、平成一〇年六月一一日到達の内容証明郵便によって原告らを同月一〇日付で解雇する旨の通知をした(以下「主位的解雇」という)。

5  右解雇通知当時、原告らが被告から支給されていた賃金の月額は左記のとおりである。

原告重雄 五五万円

原告昌弘(ママ) 五三万円

原告将三 五〇万円

原告角井 五二万円

なお、被告の従業員に対する賃金は毎月二〇日締切りの翌月一日払である(弁論の全趣旨)。

二  本件の争点

1  原告重雄、同昌博及び同将三に対する解雇について

(一) 被告がした主位的解雇に正当事由(懲戒解雇事由該当事実)があるか否か

(二) 被告が予備的にした懲戒解雇等について、懲戒解雇該当事由があるか否か

2  原告角井に対する主位的解雇に正当事由(懲戒解雇事由該当事実)があるか否か

3  原告らに対してなされた整理解雇が、有効であるか否か

第三争点に対する当事者の主張

一  争点1(原告重雄、同昌弘(ママ)及び同将三に対する解雇)について

1  被告

(一) 主位的解雇

(1) 近年、被告では飲食店等の経営が全て順調であるにもかかわらず、帳簿上は資金不足となっていたことから調査したところ、遅くとも昭和五五年ころから重太郎、勝子、原告昌博らがボーリング場やパチンコ店の売上金を着服したり、ゴルフ場の資金を持ち出したりしている事実が判明した。その金額は、パチンコ店の売上について、昭和五五年一月から平成六年一〇月までの期間だけでも約二五億五〇〇〇万円、ゲーム場の売上について、昭和五五年一月から昭和六〇年一二月までの期間だけでも約七億八〇〇〇万円にも上り、また、平成四年には絵画の売却代金名下に約七億円が被告の預金口座から引き出されているほか、多数の使途不明金等がある。

そこで、被告代表者は、平成九年一〇月ころ、勝子に対し、着服した金員を返還するよう求めたが、勝子は、当初、一部を返すかのような口振りで対応していたものの、その後は、着服の事実を否認するに至った。

(2) このようなことから、平成一〇年三月初めころ、被告代表者らが被告の帳簿類を全て引き上げて調査したところ、平成九年四月一日付で被告が二万一〇〇〇株の新株発行増資をして、そのうちの一万〇五〇〇株を勝子が引き受けたかのような書類が作成されていることが判明した。

(3) また、勝子、原告重雄、同昌博、同将三らは、平成一〇年三月二〇日、被告代表者の実印を盗用して、被告代表者所有の自宅建物等の登記名義を被告代表者から原告重雄に移転し、被告代表者に対して右自宅から出て行くように要求してきた。

(4) そこで、被告代表者は、原告重雄を相手方として、右自宅建物等の処分禁止の仮処分(大阪地方裁判所平成一〇年(ヨ)第一六三九号)の申立てを行うとともに、勝子が右新株引受書類を用いていかなる行動に出るとも限らないため、とりあえず被告の株式を一万株発行し、かつ、子である次男八城光一こと姜大奎(以下「光一」という)、次女藤井美子、及び三女田中和子の三名を取締役に追加することとして、平成一〇年四月一一日株主総会を開催して議事録を作成し、増資手続を完了して、同年五月一一日その旨の登記をした。

(5) ところが、これに対して勝子は、平成一〇年六月二日、右新株引受書類をもとに株主であると主張し、被告代表者ら取締役の職務執行停止と職務代行者選任の仮処分(同裁判所平成一〇年(ヨ)第一五六七号)を申し立てるとともに、勝子、原告重雄、同昌博及び同将三は、同月一〇日午前九時ころ、被告事務所で、勤務中の従業員全員に対し、事務所を臨時閉鎖するから退去するようにと通告するなどの行動に出た。

(6) 以上の原告重雄、同昌博及び同将三の行為は、懲戒解雇事由を定めた被告の就業規則二六条のうち、次の規定に該当する。

三号 正当な理由なく諸規定・通達に違反し、もしくは会社の業務上の指示命令に服従せず、職場の秩序を乱したとき。

六号 会社の金品を不正に持ち出し、または持ち出そうとしたとき。

九号 故意又は重大な過失により、会社に損害を与え、会社の信用を著しく失墜したとき。

一一号 会社の内外を問わず、不正又は不法な行為をなし、社員たる面目を汚したとき。

右の増資をめぐる勝子と被告代表者との被告の支配権争いや被告代表者の自宅建物の名義変更などは専ら経営者一族の私的内紛であるが、右原告らは、単に一介の従業員であるにもかかわらず、被告代表者と対立する勝子に加担して職場放棄や事務所閉鎖を行い、被告代表者の経営権を一時的にも簒奪したものである。

右原告らに対する主位的解雇は、懲戒解雇としてではなく通常の解雇として行ったものであるが、右のとおり、右原告の行為は懲戒解雇事由にも該当するものであり、主位的解雇には正当事由がある。

(二) 予備的解雇

(1) 勝子、原告重雄、同昌博及び同将三は、被告が右原告らに対する主位的解雇の通知をした後の平成一〇年六月一二日午前九時五〇分ころ、大阪市北区〈以下略〉所在の被告の事務所に押し掛け、被告が右四名の入室を拒んで事務所玄関扉を閉ざしたのに対し、口々に「あけんかい」「何してんねん」「こらー」等と怒声を発し続けたうえ、被告の警備員四名の制止を振りきって事務所内に侵入し、被告が支払に使用する手形帳、小切手帳各一冊のほか、営業所の鍵一個を奪取して持ち去り、被告の業務を妨害した。

(2) 右四名は、翌一三日午前九時五五分ころ、氏名不詳者を伴って右事務所に押し掛け、被告が同人らの入室を拒んで事務所の扉を閉ざしたのに対し、口々に「あけんかい」「何してんねん」「こらー」等と怒声を発し続けたうえ、同日午前一〇時四〇分ころ、原告昌博において、一一〇番通報をして警察を呼び、同日午前一一時二八分ころには鍵業者を使って右事務所玄関扉を開けさせようとした挙げ句、同日午後四時二三分ころ、右四名と氏名不詳者においてこもごも右事務所玄関扉を手で叩き、足蹴りし、扉に体当たりするなどして事務所内で勤務していた従業員を畏怖させ、被告の業務を妨害した。

(3) 右四名は、同日午後五時ころから同月一四日午後三時ころにかけて、右氏名不詳者を伴って、土曜日の就業時間終了から日曜日にかけての時間帯で誰もいない事務所の玄関の鍵を壊して事務所内に布団を持込んで侵入し、右原告ら三名に対する解雇通知の内容証明郵便控を窃取したうえ、その後、事務所内に居座り続けて、被告の業務を妨害し続けた。

(4) 右四名は、被告代表者が、着服した金員の返還を求めたのに対し、「蓄えた金は使わずに会社は破産させる」などと言い、また、奪取した手形帳、小切手帳や営業所の鍵の返還を求めても「弁護士に預けてあるから窃盗にはならない」などと訳の分からない口実を構えて返還を拒み、逆に被告代表者に対して勝子の株式取得や被告代表者の自宅建物等の原告重雄への名義移転を承諾するよう執拗に強要した。

(5) 前記主位的解雇の正当事由として主張した懲戒解雇事由に加え、右のような原告重雄、同昌博及び同将三の業務妨害行為は、前記就業規則二六条のうち、次の規定に該当する。

八号 故意又は重大な過失により会社の施設・動力・資材・機械・工具・製品・文書・掲示物・その他の品物を破壊・破棄・濫用・隠匿・紛失したとき。

一〇号 他人に暴行脅迫を加えたとき、または暴力をもって会社の業務を妨げたとき(ママ)

右原告らは、勝子による被告の支配権争いという経営者一族内部の私的な紛争を会社内部に持込み、個人的な利益追求のために被告の被る不利益を顧ることなく実力で業務妨害を繰返したものであり、懲戒解雇は当然である。

被告は、本件訴訟に先立つ地位保全仮処分事件(大阪地方裁判所平成一〇年(ヨ)第一七一〇号)の平成一〇年六月一八日の審尋期日において、同日付答弁書(〈証拠略〉)により、右原告三名に対し、主位的解雇が何らかの理由により無効であるとすれば、予備的に、右一連の業務妨害行為を理由に懲戒解雇する旨の意思表示をする旨通知した。

右の懲戒解雇の意思表示は、併せて、解雇事由を定めた被告の就業規則二三条三号(懲戒解雇の基準に該当するとき)に該当する通常の解雇通知としても行われたものである。

2  原告ら

(一) 主位的解雇

(一)(ママ) 被告の主張にかかる主位的解雇(1)(2)の事実は否認する。

同(3)のうち、原告らが被告代表者の実印を盗用したこと、同人に対し自宅から出て行くよう要求したことは否認し、その余は認める。

同(4)は、争う。被告代表者は、勝子に招集通知を発することなく、同人の名義を冒用して偽造した取締役会議事録、株主総会議事録を作成し、増資、取締役選任の登記を了したものである。

同(5)のうち、勝子が従業員に一時事務所を閉じる旨申し渡した事実はあるが、原告らが通告したとの事実は否認する。なお、、(ママ)勝子は右当時、被告の取締役であった。

同(6)は争う。

(二) 予備的解雇

被告の主張にかかる予備的解雇の事実は全て否認する。

また、被告が懲戒解雇の意思表示をする旨記載した準備書面を提出したことは認めるが、同書面には懲戒事由についての具体的事実摘示はなかった。

二  争点2(原告角井に対する主位的解雇)について

(一)  被告

(1) 原告角井は、重太郎、勝子、原告重雄、同昌博及び同将三らの金員着服行為に加担した。

(2) 原告角井は、右加担行為などの功績で、勝子らに目をかけられていることを笠にきて、被告らの経営する飲食店の営業本部長の職にありながら、

ア 毎日午後三時ころ営業店に出勤後すぐに外出してしまって、午後九時すぎまで帰らず、午後一〇時すぎころから店のカウンターに座って飲酒し、客が居るにもかかわらず従業員を怒鳴りつけ、従業員がこれをたしなめると、「おれに逆らうと出世はしない」「おれの言うことを聞けば出世させてやる」などと言い、さらに、従業員を自分の部屋に呼びつけて飲酒しながらくどくど小言を言ったり、昔話や自慢話をし、さらに、従業員が帰宅した後も、午前四時ころ、酩酊状態で従業員宅へ電話して話の相手をさせるなどの行為を連日繰返した。

イ 女性アルバイト従業員の下半身を触り、抗議されても「スキンシップ」などと言って素行を改めようとしなかった。

ウ 妻子がありながら、職務上の立場を利用して外国人女性従業員に性的関係を迫り、遂に同従業員の社宅に入り浸って社内の風紀を乱した。

(3) 原告角井が重太郎らの金員着服に加担した行為は、前記の被告就業規則二六条三号、六号、九号、一一号に該当するほか、右(2)の振る舞いは右就業規則二六条三号、一一号に該当する。

よって、原告角井に対する主位的解雇には正当事由がある。

(二)  原告角井

被告が主張する解雇事由はいずれも具体性を欠き、主位的解雇の正当性を基礎付け得う(ママ)るものではない。

三  争点3(整理解雇)について

1  被告

(一) 被告は、原告らの金員着服の結果、金融機関に多額の負債を抱え、元利の返済ができない状態で倒産の危機に瀕していて人員削減の強い必要性がある。

(二) 被告はこれまで人員削減のためのあらゆる手だてを尽くしてきたが、原告らの金員着服や業務妨害に加えて、勝子、原告重雄、同昌博及び同将三の申立てに係る代表取締役の職務執行停止、職務代行者選任の仮処分決定がなされたことなどによって、金融機関に対する信用を失墜し、倒産回避のためには人員削減以外に方策がない。

(三) 原告重雄、同昌博及び同将三は、被告代表者の孫という関係から被告に入社したもので、もともと被告に必要のなかった人材であり、原告角井も、重太郎、勝子、原告重雄、同昌博及び同将三らの言いなりに金員の着服を手伝って来たことにより、中身のない店長の地位を与えられていたに過ぎない者である。

(四) 被告が原告らに対し整理解雇の必要性や人選について、原告らの納得を得るための説明を行ったことはないが、原告らは金員を着服するなどして整理解雇の原因を作った者達であり、原告ら自身、整理解雇の必要性等の事情は知悉している。

このように、整理対象となった労働者自身が、違法に整理解雇の原因を作り、その事情を知悉している場合には、使用者は改めて当該労働者に説明や協議を行う義務を負うものではない。

(四) 被告は、主位的解雇や原告重雄、同昌博及び同将三に対する予備的解雇が認められない場合に備えて、被告の本訴における平成一一年四月一九日付準備書面により、原告らに対し整理解雇の意思表示をする。

2  原告ら

(一) 被告の主張のうち、被告が多額の負債を抱えていることは認めるが、原告らが金員を着服したり、業務妨害行為をしたこと、被告が代表取締役職務執行停止等の決定のため金融機関に対する信用を失墜したこと、倒産に瀕して人員削減の必要性があること、人員削減回避のためあらゆる手だてを尽くしたこと、倒産回避のために人員削減以外に方法がないことは否認する。

(二) 整理解雇が有効であるためには、〈1〉整理解雇の必要性、〈2〉整理解雇回避のための努力、〈3〉整理基準の客観性、合理性、〈4〉労働者との誠実な協議が必要であるところ、被告の主張には何ら具体性がなく、本件の整理解雇がこれらの要件を満たすものではない。

第四当裁判所の判断

一  争点1(原告重雄、同昌博及び同将三に対する解雇)について

1  前記争いのない事実、証拠(〈証拠・人証略〉)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。

(一) 被告は、被告代表者が昭和三五年に設立した会社であり、飲食店、ゲーム場、ボーリング場、パチンコ店、ゴルフ場等を経営している。平成九年三月以前は、被告代表者が全株式を所有するいわゆる一人会社であり、被告代表者の子らが被告役員を務めるなどのいわゆる同族会社であって、そのころの発行済株式数は七〇〇〇株であり、資本金は三五〇万円であった。

被告代表者は、昭和五〇年ころから、被告の経営方針を指示したり、重要事項の決済をするだけで、経営実務は長男であり専務取締役であった重太郎に任せるようになり、自らは韓国の新規事業の開拓等に集中するようになった。このため、被告の収支管理は重太郎及び勝子が中心となって行い、被告代表者にはその結果を報告するという状態が続いていた。

重太郎は平成七年九月三〇日に死亡したが、その後も勝子は被告取締役として被告の入金管理を行うなどしていた。

(二) ところで、被告は、平成二年の商法改正により平成九年三月末日(阪神淡路大震災の影響により本来の期限が延長されたもの)までに資本金を一〇〇〇万円に増資する必要があったが、その際、被告代表者の保有していた既存株式の贈与と併せて新たに二万一〇〇〇株の新株発行がなされ(発行済株式は既存株式と併せ二万八〇〇〇株となった。同年四月一日、その旨の登記もなされた)、その結果、被告の株主構成及び持株比率は、勝子が一万四〇〇〇株、五〇パーセント、光一が八四〇〇株、三〇パーセント、被告代表者及び八城清一こと姜大厚(以下「清一」という。)が各二八〇〇株、各一〇パーセントを保有することとなった。

(三) しかるに、被告代表者は、平成九年一〇月ころから、重太郎や勝子は被告の売上等を着服していたなどといって勝子にその返還を求めるようになり、これを拒否する勝子と対立するようになった。

また、平成一〇年三月二〇日、被告代表者が勝子や原告重雄らと同居していた自宅建物等の所有名義が、同日付売買を原因として被告代表者から原告重雄に移転登記された。

被告代表者は、右自宅建物等の処分移転禁止仮処分命令(大阪地方裁判所(ヨ)第一六三九号)の申立てをするとともに(右仮処分命令の申立てについては、同年六月九日、これを認容する決定がなされた)、同年四月一一日付で、臨時株主総会により、授権資本を二万八〇〇〇株から一一万二〇〇〇株とすること、右授権資本増加により新たに新株一万株を発行すること(なお、右新株は光一が八四〇〇株、被告代表者が一六〇〇株を引き受けたこととされている)、取締役を従前からの被告代表者、清一、勝子のほかに、光一、藤井美子及び田中和子を選任することなどの決議がなされたとして、同年五月一日その旨の登記をした。なお、右臨時株主総会の開催は勝子には何ら通知等がなされていなかった。

(四) 勝子は、右臨時株主総会の不存在を理由として、同年六月一日、被告代表者や新たに選任された光一らの職務執行停止と職務代行者選任の仮処分命令(同裁判所平成一〇年(ヨ)第一五六七号)を申立て、同年九月一四日、大阪地方裁判所は、光一ら新たに選任された取締役の職務執行停止を認める限度で右申立てを認容した。

その後、被告代表者がまた新たに藤井泰雄や木下勲を取締役に就任させるなどしたため、勝子は被告代表者や右木下らの職務執行停止と職務代行者選任を求める仮処分命令(同裁判所平成一〇年(ヨ)第二七八九号、二九七三号)を申し立て、右申立ては、同年一二月八日、認容された。

(五) この間、被告代表者は、平成一〇年八月一八日、自ら原告となり、勝子や原告重雄らを被告として、自宅建物等の登記名義の回復を求める所有権移転登記手続等請求の訴え(同裁判所平成一〇年(ワ)第八五六八号)を提起し、また、同日、被告を原告として、勝子や原告重雄らに対し着服した金員の返還を求める損害賠償請求の訴え(同裁判所平成一〇年(ワ)第八五七〇号)を提起した。

また、被告代表者は、同年九月一四日、勝子、清一を被告の取締役から、原告重雄を被告の監査役から解任したとして、同日付でその旨の登記もした。

(六) このような紛糾のなかで、原告昌博は、被告の本社総務課長であり、かねてより本社事務所の管理を行っていた(なお、事務所に常勤する従業員は、原告昌博のほか、経理課長猪原敏夫と女性従業員三名であった。)ところ、平成一〇年六月一〇日は、前記第一五六七号仮処分事件の第一回審尋期日であったことから、自らも裁判所へ出向くこととして、従業員には午後から出勤するよう指示し、同日午前中は事務所を閉鎖したが、同日午後は、通常どおり勤務した。

ところが、翌一一日、原告角井を含む原告ら四名に対し、主位的解雇の通知が郵送された。右解雇通知には解雇理由は何ら記載されていなかった。

同日、原告昌博が出社すると、警備員が配備されていて入室を拒否しようとしたが、原告昌博は、入室する権利があるなどと説明して事務所に入った。

翌一二日、原告昌博が出社したところ、事務所の玄関扉は閉鎖されており、光一が経営する八城観光株式会社の従業員が応対に出て原告昌博の入室を拒否した。そこで、同日午前一一時一〇分ころ、勝子、原告重雄、原告将三が事務所に赴き、「あけんか」「なにしてんねん」「こらー」などと大声を上げ、警備員らが入室を拒否するのを押し切って入室した。原告昌博も、同日午後〇時二〇分ころ、再度事務所に来た。なお、同日、原告昌博は事務所に保管していた被告の支払用の手形帳、小切手帳、営業所(飲食店)の鍵を事務所から持ち出し、これらを原告ら代理人に預け、その後は、必要に応じて、経理担当者を通じ必要額の手形や小切手を被告に渡すようにしていた(ママ)

さらに、翌一三日も、午前九時五五分ころ、勝子、原告重雄、同昌博及び同将三がほか一名を同伴して事務所に赴いたところ、玄関扉は閉鎖されていたため、前と同様に大声を上げ、入室を阻止しようとする警備員らと揉み合いになるなどし、その後、双方が警察に通報して警察官を呼んだり、勝子や右原告らが鍵業者を呼び寄せて解錠させようとしたりすることが繰返され、さらには右原告らが玄関扉を叩いたり、足蹴にしたりなどしたが、結局、同日は右原告らは事務所に立ち入ることができなかった。

このようなことから、原告昌博らは、交替で事務所に泊まり込むことにして、翌一四日日曜日の午後、原告重雄、同昌博及び原告将三ほか一名が錠を取り替え、布団を持込んで同日事務所で宿泊した。

以後、右原告らは、数人ずつ交替で事務所に泊まり込むなどした。

(七) 原告ら四名は、主位的解雇に対し、平成一〇年六月一二日、地位保全の処分命令(同裁判所平成一〇年(ヨ)一七一〇号)の申立てを行い、同月一八日、その第一回審尋期日が開催されたが、被告が提出した同日付答弁書(〈証拠略〉)には、本訴で被告が懲戒解雇等の事由として主張するところとほぼ同様の理由により原告重雄、同昌博及び同将三を予備的に懲戒解雇する旨記載されており、同書面は、同日ころ、原告に交付された。

右仮処分命令の申立てに対し、大阪地方裁判所は、同年八月二四日、解雇事由についての疎明が不十分であるとして、地位保全を認容するとともに賃金仮払いについて一部を認容する旨の決定をした。

2  被告は、原告昌博らが、重太郎や勝子による被告の売上金着服等に関わっていたと主張し、中村堯や中田義治の陳述書(〈証拠略〉)には、重太郎から命じられて、昭和五五年ころから中村がボーリング場等の売上の一部を重太郎宅に運ぶようになったこと、平成六年からは重太郎に代わって原告昌博に渡したこと、中村が一時退社してからは、原告昌博や同角井らが金員の運搬をしていたことなどが記載されている。

しかしながら、原告昌博は、本人尋問で右のような金員着服への関与の事実を否定しているし、もともと、重太郎らが売上金等の着服をしていたという右中村らの陳述書の記載等を裏付ける客観的な証拠は何ら提出されておらず、ことの重大性に鑑みるときは、右陳述書等の記載から、客観的な裏付けもないまま重太郎らの売上金着服やこれに対する原告らの関与を認定することは困難というべきである。

よって、原告昌博らが売上金着服に関与していたという被告の主張は採用できない。

また、被告は、原告重雄らが、被告代表者の印鑑を盗用して被告代表者所有の自宅建物等の所有名義を変更したとか、勝子が被告代表者に無断で被告の新株発行増資をして、半数所有株主になったなどと主張し、被告代表者は本人尋問でこれに沿う供述をするほか、同人の陳述書(〈証拠略〉)や光一の陳述書(〈証拠略〉)にも右主張に沿う記載があるが、右の供述や陳述書の記載も、同人らが被告の支配をめぐって勝子らと激しく対立していることなどからするとにわかには信用し難く(とりわけ、光一は右陳述書において、右増資の関係書類に、保管していた被告代表者の実印を押捺したこと自体は認めながら、内容はよく確認しなかったなどと記載しているが、到底信用できない。)、他に右被告主張の事実を認めるに足る証拠はない。

さらに、被告は、勝子らが被告代表者に対し、着服して蓄えた金は使わずに会社は破産させるなどと言い、勝子の株式取得や被告代表者の自宅建物等の原告重雄への名義移転を承諾するよう執拗に強要したなどとも主張し、被告代表者の陳述書(〈証拠略〉)にはこれに沿う記載があるが、右陳述書の記載には具体性がないし、右のとおり、同人が被告の支配をめぐって勝子らと激しく対立していることなどからしてにわかには信用し難く、他に右被告主張の事実を認めるに足る証拠はない。。(ママ)

3  そこで、まず、前記認定事実によって、主位的解雇の有効性について判断する。

被告が、原告重雄、同昌博及び同将三に対する主位的解雇の正当事由として主張する、重太郎らの売上金着服に関与していたとの事実は、右に説示したとおり、これを認めるに足る証拠はない。

次に、被告代表者の自宅建物等の無断での名義変更や無断増資等も主張されている(これらは本来雇用関係とは関係のない家庭内事情ないし会社の支配権争いであるが、被告は、右原告らが、勝子に加担して被告代表者を被告から排除しようとしたことの一環としてこれらの事実を主張しているものと解される。)ところ、これらについても前記説示のとおり、被告代表者に無断でなされたものと認めるに足る証拠はない。

さらに、被告は、平成一〇年六月一〇日午前中、原告昌博が本社事務所を閉鎖したことや同原告らが仮処分審尋のため裁判所に出頭したことを会社支配権の簒奪であり職場放棄であるとして解雇事由としているところ、確かに、前記認定のとおり、原告昌博が同日午前中本社事務所を閉鎖した事実は認められるし、同人が従前から事務所の管理を行ってきたことを考慮しても、同人はただの従業員に過ぎないのであるから、自らが当事者でもない仮処分事件の審尋に赴くためという理由で事務所を閉めたことは権限逸脱のそしりを免れないし、その間業務を離れていたことも非難を免れないところである(なお、証拠上は明らかでないが、弁論の全趣旨からして、原告重雄や同将三も右の審尋期日には裁判所に出向いていたと認められ、そうだとすると、同様の非難に値する)。

しかしながら、まず、解雇通知書(〈証拠略〉)には、前記のとおり、何ら解雇事由は記載されておらず、同日付で発送されていることなどからして、もともと、被告がこれを主位的解雇の解雇事由とする意図であったかは疑わしい。また、事務所閉鎖といっても、午後からは通常どおりの執務が行われており、午前中のみの業というべきであって、これを会社支配権の簒奪と評するのは誇張であるし、右の休業によって被告の業務に重大に(ママ)支障が生じたとの主張立証はない。さらに、被告が株主や役員等を親族等で構成するいわゆる同族会社であり、同原告らにとっては、それまで、重太郎の後を継いで被告の実務に携わってきた実母であり、被告取締役である勝子が、被告から排除されようしており、その背景には同原告らも関わっていると主張されている被告の売上金着服等の疑いがかけられているというのであるから、裁判の経緯について同原告らとしても無関心ではいられないところであり、裁判の経緯を見守るために職場を一時的に離脱したこともある程度はやむを得ないところである。

そうすると、原告昌博が、自己の判断のみで事務所を午前中休業したことや同原告らが、当事者でもない裁判に出向くためとの理由で職場を離れたことは、何らかの懲戒等の原因とされることは免れないとしても、懲戒解雇はもとより、即時解雇の事由としなければならないほど重大な非違行為とは認められない。

よって、同原告らに対する主位的解雇に正当事由があるとは認められず、主位的解雇の意思表示は無効である。

4  次に、予備的解雇について判断する。

前記認定のとおり、原告重雄、同昌博及び同将三は、主位的解雇の通知を受けながら、その後、本社事務室(ママ)玄関で入室を要求して大声を出したり、警備員らの阻止を押し切って本社事務室(ママ)に立ち入ったり、手形帳等を持ち出したり、さらには、事務所に布団を持込んで泊まり込んだりといった行動をとり続けていたことが認められる。

そして、雇用継続と賃金確保のためだけであれば、無効な解雇によって労務の提供を拒否されたとしても、従業員としては、別途解雇の効力を裁判で争う等の措置をとれば済むことであり、右のような強硬措置に出るまでの必要はなかったというべきである。

しかしながら、もともと、同原告らが右のような行動に出たのは、被告が主位的解雇の通知をして、原告昌博の本社事務所入室を拒否する対応に出たことに端を発している。

主位的解雇は、右に説示したとおり正当事由を欠く無効なものというべきであるが、それに止まらず、その時期が勝子が被告代表者らの職務執行停止等の仮処分命令を申し立てた直後であること、事前の予告等もなく突然即時解雇に及んでいること、解雇通知書には何ら解雇事由を記載していないこと、とりわけ原告角井には後述するとおり取り立てて問題とされるような行動があったわけではないにもかかわらず他の原告らと同時に解雇されるにいたっていることなどに鑑みると、原告らが被告代表者と対立する勝子の子であり、あるいは、勝子に与する者とみなされたためになされたものと考えられるのであって、勝子に対する報復ないしは同人の影響力をそぐことを意図したものと推認されるし、少なくとも原告らがそのように考えたとしてもやむを得ないというべきである。

本件では右のように被告の主位的解雇が報復的措置等と考えられてもやむを得ないような事情が認められるのであるから、原告昌博が、事務所への入室を拒否されたことに対抗し、勝子や原告重雄、同将三らの協力を得て出社を強行するなどの措置に出たことには、被告自ら誘発した面が少なくないと考えられ、これをとらえて新たな懲戒解雇の事由とすることは、いかにも信義に反するというべきである。これに関して、被告は、原告らが、被告の支配権争いという経営者一族内部の私的な紛争を会社内部に持ち込んだかのように主張するが、そのそしりはむしろ、右のような報復等の意図で主位的解雇に及んだ被告が受けるべきである。

加えて、被告が前記のとおりいわゆる同族会社であること、右原告らが勝子の子という身分関係にあると同時に被告の従業員でもあること、それゆえ勝子と被告代表者との支配権争いには間接的ながら利害関係があること、被告がした主位的解雇によって右支配権争いに巻込まれていることなどをも併せ考慮するときは、右原告らが主位的解雇に対抗する措置を執ることも、その手段や内容が相当性を欠き被告の業務を著しく阻害するなどの事情がない限り、やむを得ないことというべきであり、実質的に懲戒解雇事由には該当しないものというべきである。

以上のような観点からみると、被告は、右原告らの行為が懲戒解雇事由を定めた就業規則二六条の八号及び一〇号に該当するというが、右原告らが本社事務所で大声を上げたり、警備員ともみ合ったり、あるいは玄関扉を叩いたりなどし、さらには事務所に泊まり込んだりしたのは、被告が解雇したとして原告昌博の事務所入室を拒否したりしたためであり、原告昌博は手形帳等を持出してはいるが、これを弁護士に預け、必要に応じて手形等の発行事務も行っていたというのであるし、被告の業務に著しい支障が生じたとも認められないから、これらが実質的にみて右就業規則の懲戒解雇事由に該当するということはできない。

そうすると、予備的解雇の意思表示は、懲戒解雇事由に該当する非違行為を認めることができないから、懲戒解雇としてはもとより即時解雇としても無効というべきである。

二  争点二(ママ)(原告角井に対する主位的解雇)について

1  まず、被告は、原告角井が、重太郎らによる金員着服行為に加担したと主張するが、前記(第四の一の2)のとおり、これを認めるに足る証拠はない。

2  次に、被告は、懲戒解雇事由を定めた就業規則二六条三号、一一号に該当する事由として、勤務時間中に外出したり、飲酒したりするなど原告角井の勤務態度が不良であること、女性従業員の下半身をさわったりすること、女性従業員と同棲して職場の風紀を乱したこと等種々主張する。

しかしながら、証拠(〈証拠・人証略〉)によれば、原告角井が同棲しているという女性従業員というのは、現在の原告角井の妻であり、現在は被告が経営し、原告角井が支配人をしている飲食店の従業員をしているものの、同人が他所の飲食店従業員であったころ知り合い、まもなく同棲するようになったこと、当時原告角井は前妻と別居中であったこと、平成一〇年一月前妻と離婚が成立し、同年三月同棲していた現在の妻と婚姻したことなどが認められ、以上によれば、前妻との婚姻が継続しているうちから女性従業員との同棲が開始されているとはいえ、婚姻を前提にした同棲関係であったと認められ、これをもって職場の風紀を乱したなどとはいえない。

また、原告角井の勤務態度や女性従業員に対する嫌がらせについては、従業員らの陳述書(〈証拠略〉)に、被告の主張に沿う記載があるが、いずれも抽象的な記述に止まるし、原告角井は本人尋問でそのような事実を否定し、これまで、従業員から被害の申告や苦情が出て、注意を受けるなどしたことはないと述べており、これらに照らすと、右陳述書の記載はにわかには信用し難く、勤務態度等に関する被告の主張は採用できない。

3  以上のとおりであり、被告が原告角井に対する主位的解雇の正当事由として主張する事実は、これを認めるに足る証拠はなく、したがって、右解雇の意思表示は無効というべきである。

三  争点3(原告らに対する整理解雇)ついて

整理解雇が有効であるためには、原則として、人員削減の必要性があること、使用者が解雇回避のための努力をしたこと、被解雇者の選定が妥当であること、手続が妥当であることが必要であると解される。

しかるに、被告が債務超過であることについては当事者間に争いはないが、被告に強い人員削減の必要性が存することやこれまでに被告が何らかの人員削減回避のための努力をしたことについては、これを認めるに足る証拠はないし、被告は、原告らが売上金着服に加担していたことをもって人選の妥当性や説明義務を負わないことの理由としているところ、前記のとおり、原告らが金員着服に加担していたとの事実は認められないのであるから、本件整理解雇は著しく不当であって、被告がした整理解雇の意思表示は無効というべきである。

四  結論

以上のとおり、被告が主張する解雇はいずれも理由がなく無効と認められるので、原告らの従業員たる地位の確認を求める請求は理由がある。

これに対し、賃金請求については、原告らは、未払賃金のほか将来分の賃金をも請求するところ、すでに支給時期が経過した未払賃金及び本判決確定に至るまでの請求は理由があるが、将来分の賃金請求のうち、本判決確定後の分については、原告らの労務提供がいつまでなされるか不確定であるから、訴えの利益を欠くものというほかなく、不適法であるから却下することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松尾嘉倫)

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